絵本・旅行コラム(パパママコーナー)

ミリー・マリー・マンデーはいつも元気です

ミリー・モリー・マンデーは、いつも元気です
J.ブリスリー『ミリー・モリー・マンデーのおはなし』
上条由美子訳 福音館書店
石川晴子 (関西大学非常勤講師)

ミリー・モリー・マンデーは、草ぶき屋根の白いきれいな家に、おとうさんとおかあさんとおじいちゃんとおばあちゃんとおじさんとおばさんと一緒に住んでいます。おとうさんは野菜を作り、おじいちゃんは、それを市場へ馬車で運び、おじさんは牛乳とたまごをとるために、牛とにわとりを飼っています。ミリー・モリー・マンデーのうちは、イギリスの農家なのです。おかあさんは、お料理とお洗濯をし、おばあちゃんは、家中のひとのために、靴下やてぶくろ、あたたかいセーターを編み、おばさんは洋服を縫ったり、お掃除をしたりします。ミリー・モリー・マンデーにも仕事があります。うちじゅうのひとのために、お使いをしたり、ことづけを届けたりするのです。


ミリー・モリー・マンデーというのは、名前としては、かなり長いほうでしょう。でも、ほんとうは、もっと長くて、「ミリセント・マーガレット・アマンダ」といいます。これでは、とても呼びにくいので、みんな短くちぢめて読んでいるのです。

 

ところで、ミリー・モリー・マンデーの短いところは、名前ではなく、髪の毛が短いし、来ている服も短いし、脚も短いのです。それは、ミリー・モリー・マンデーが、まだ、ちいさな女の子だからです。この脚がまた、とても元気がいいので、おつかいにもいくし、犬のトビーと跳びはねたり、友だちのスーザンやビリーと遊んだりするのにおあつらえ向きです。 あるとき、ミリー・モリー・マンデーは、おとうさんから、近所のモッグスさんに貸してあった移植ゴテをもらってくるように頼まれました。

すると、おかあさんがモッグスのおばさんにたまごを届けてきて、といい、おじいちゃんが、マギンズさんのお店で「糸を一玉買ってきておくれ」といって、ペニーどうかをひとつくれます。おばあちゃんは、赤い毛糸を買ってきて、といって六ペンス銀貨をひとつくれます。それだけでなく、おじさんは、ブラントさんのところへかけていって、頼んでおいたにわとりの餌はまだかと聞いてきておくれと頼むし、おばさんは、針を一袋買ってきてといって、ペニーどうかをひとつくれます。
ぜんぶ覚えていられるでしょうか。 ミリー・モリー・マンデーは、「とうさんのコテと、かあさんのたまごと、おじいちゃんのいとと、おばあちゃんのけいとと、おじさんのにわとりのえさと、おばさんのはりと」と何度も声に出していってみますが、果たして、ちゃんとおつかいができたでしょうか。 もちろん、ことはスラスラ運ぶわけではありません。それでも、最後には、おつかいは無事にすんで、みんな、「うちのちいさなおてつだいさんは、なんてやくにたつのでしょう」と、感心してくれます。 ミリー・モリー・マンデーの話はたくさんあって、イギリスでは、始めて本が出た1928年からずっと読みつがれているそうです。

 

ミリー・モリー・マンデーは、学校に行っているので、たぶん6歳くらいだろうと思います。でも、読んでもらえば、もっと小さなひとにも、じゅうぶん楽しめるおはなしです。 小さいときに、たっぷりおはなしを聞いて楽しんだ経験は、成長するうえで、とても大きな力になってくれるといわれます。この『ミリー・モリー・マンデーのお話』も、ぜひ、こどもたちに読んであげてください。

 

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