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日本ピアジェ会|ピアジェ理論|幼児教育|創造的教育|能動的記憶|ぺたぺたシール|児童心理学
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これまでは「幼児に知性などあるものか」と考え、学習は小学校からと考えていた一般的な考えをピアジェ理論はくつがえし、知性といえども独立して存在するものではなく、生まれてこのかた蓄積してきた知能の働きの結果知性が生まれるもので、いきなり知性は生まれるものではない。知性と知能の働きは相互に助け合い補い合うものであるという相互説を唱えたのです。
これまで、学習は小学校からと固定的に考えていました。しかし、乳児がおっぱいを飲むのでさえ、赤ちゃん自身が学習し、吸引が可能になります。このように、すでに学習は、生まれた瞬間から始まっているので小学校から始まるわけではないのです。ピアジェの研究によって学習という概念も大きく変化したのです。
今日の幼児は明日の幼児ではないことは、みなさんは、いろいろの行事の前と後では幼児の生活態度が変化し、成長していることを知っているでしょう。日々が変化の連続です。幼児教育者でもピアジェの世界を知っている人と知らない人では子どもの成長発達に大きな違いが生じます。
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知識を教えられるという受動的記憶に対して、能動的記憶とは自発性に依存するところの創意工夫、試行錯誤のあとで獲得した記憶のことで、これらは無限に発達していきます。
例えば、エジソンは必要は発明の母と言われましたが、自発的に求めるものは、科学にしろ、芸術にしろ、次から次へと創造の世界が待ち受けており、とどまることのない未知の世界に挑戦しなければなりません。これらの過程の中で獲得する記憶は、更に新しい知識を獲得しながら挑戦していきます。
幼児はその典型です。なぜなら、言葉も空間関係も、物理的、数学的その他の世界など、幼児を取り囲む世界は未知の世界ばかりです。言葉を獲得していない幼児が、その意味を表す方法として模倣活動という行動を発明して、物や事柄を表現するというように、そこには創造の世界が待ち受けているのです。
模倣活動でも、身体だけで表現不足となると、2・3歳児後半になると木片を飛行機に見立てて遊ぶというように、身体と道具を使って表現するように発達して いきます。これらは大人が教えたものではないのです。
ピアジェ博士は、私の理想は幼児が創造的であることを、いつまでも忘れない大人になることだ、と喝破したように、創造的発明的記憶は限りなく発達していきます。
未知の世界に挑戦する幼児の世界こそ、すべての原点が含まれているのです。 ものを覚えるのが記憶であるという概念はもう古いのです。
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ピアジェ理論のすばらしいところは、難しいと思っている理論を最も単純にしてその源を示しているところです。 A図は記憶と知能の実験のなかで、偶然発見された発達の実験です。
10本の棒を見せた後、ばらばらにして、元のように並べさせる実験ですが、この中には知能の発達、論理の発達、 認識の過程など凝縮されたもので、深い深い意味が隠されています。
1 段階 | 大小の判断が混同されていて、手にもったものを並べます。図はイメージで混同した知能の働きを示しています。 |
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2 段階 | 大小の判断という知能の働きが生まれ、大小、大小と並べるるか、または、大の仲間、小の仲間のおおまかなグループに分ます。 |
3 段階 | 小中大、小中大というように並べて行く段階です。 |
4 段階 | 元のモデルと同じように、小から大に連続して系列しながら並べます。 |
このように、幼児が記憶でそのまま理解するのであれば、はじめからモデルと同じように並べることができるはずです。しかし、 実験の結果はそれぞれの知能の発達に応じて幼児が並べ替えるのです。
この実験は、ものを理解していく過程を示しています。 はじめは、混同、次に二つの両極の世界、次にそれぞれの中間を発見して、例えば色であれば、薄い、少し濃い、濃い、または、濃い、少し薄い、もっと薄い、というように分化していき、さらに薄い色から濃い色への系列がはじまるというように発達していきます。数学や論理的分化のモデルにもなる、最も単純な表現ですが、奥が深いのです。
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最近ではあそびの行動を通じて(身体の操作活動)学習することだけが強調されすぎているようですが、いろいろ 思考をめぐらす(頭の中の操作活動)ことも重要なのです。 ピアジェ生誕100年祭でも、あまりにも発達心理学や教育心理学において「あそび」を強調しすぎた傾向があるので、 遊ばせるだけでは放任につながり、極端には、何もしない方がよいとなっている一面があるので、これからの課題は知的操作活動とのバランスについて考えなければならない、という提案がありました。 ピアジェ博士は、むしろ幼児の模倣活動に注目しています。模倣は調節操作が伴うからです。博士の実験を紹介しておきましょう。
16か月のセリーヌは、ある日博士の応接間のドアに止まった一匹の蝶がヒラヒラと羽根をひろげたり閉じたりしているのをじっと見ていました。やがて彼女は、だれも教えないのに蝶の羽根の動きを模倣しはじめました。1 週間後、 同じ応接間に遊びにきた彼女が、蝶を見つけたドアの前にやってきて、そこには蝶が止まっていないのに、まるでいるかのように両手をヒラヒラさせ、象徴的に表現しはじめました。
あきらかに、過去に見た蝶の記憶を再認しながら、心にイメージを浮かべて模倣したのです。(延滞模倣) 言葉で表現できなくても、蝶がヒラヒラしていることを行動で表現したのです。この行為は大人が教えたものではありません。これらの模倣活動は、意味づけの行為であり、そこには、どのように表現するかということを、頭のなかで調節操作をしながら表現しているのです。
このような身体の操作的行動ばかりではなく、頭の操作活動が重要な働きをして思考の裏側で働く知能が発達していくのです。
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幼児が現在もち合わせている能力を力一杯発揮して、未知の世界に挑戦するとき、大人の既成概念にとらわれずすばらしい創造性を発揮します。
しかし、赤ちゃんがいきなり立って歩くことができないように幼児の知能の発達には順次性があり、その能力に適応した行動を一つ一つ自分のものにしていきます。
a + a’= b 、b + b’ = c、 c + c’= d というように一つのシェマが二つのシェマを包含し、それがあたかも一つのようになって、他のものを獲得し更に大きな包含関係と系列の関係を構成して発達していきます。
属性の包括関係は系列と結びついていきます。
至高の動きも同じ構成です。
例えば皆さんがピアノを習いはじめたときのことを思いだしてください。手に注意すると楽譜を見る目が留守になり 、 楽譜( 目 ) に注意すると 、 鍵盤を押す( 手 ) が留守になり、目と手がともに応じあうようになってもペダルを押す足が、留守になったりします。やがて上手になれば楽譜を見ただけで手足が応じ合って演奏できるようになります。目と手足があたかも一つのように包含されたシェマで動作ができるようになります。
シェマとは、過去の経験を通じて、未知の世界にあてはめていこうとする心的体制のことで、肉体的であれ、精神的なものであれシェマが他のシェマを包含して新しいシェマを構成していきながら発達していくもので、固定したものではありません。
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